自殺の問題にどのように向き合うのか
世界の取り組み W H Oと各国の対策

 世界において自殺予防対策に取り組んでいるのはまだまだ少ないのが現状ですが、W H Oのような機関やアメリカ合衆国、イギリス、北欧諸国では熱心に取り組まれています。
 民間で早くから自殺予防対策に取り組んできたアメリカ合衆国では、1958年から各地に設置した自殺予防センターを基点として、多くのボランテイア活動を推進し、現在では、公民連携による自殺対策への気運が高まっています。
 北欧のフィンランドでは、数値目標を掲げ1990年から10年間で30%も自殺率を下げることに成功しています。

WHO関連の取り組み

 WHOでは、世界自殺予防戦略(SUPRE)や「世界自殺予防デー」などの自殺予防対策を実施し、全世界的に自殺予防対策を推進するための働きかけを行っています。

WHO世界自殺予防政策

 WHOは、「世界中で自殺が重大な問題であるとの認識が欠如しており、多くの社会ではこの問題を議論することもタブーとされており、また自殺予防のために何を取り組めば良いかが不明確であることから、自殺予防は十分に取り組まれていない」として「自殺予防のためには、健康関連領域外からの介入も必要なことは明らかであり、健康関連領域外とそれ以外の両者による革新的、包括的な多領域からのアプローチが必要である」という立場から、世界自殺予防戦略(SUPRE; Suicide Prevention)を掲げて活動しています。

日本の取り組み
自殺予防週間

 わが国では、平成19 年6月に閣議決定された自殺総合対策大綱において、9月10 日の世界自殺予防デーに因んで、毎年、9月10日からの一週間を自殺予防週間として設定し、国、地方公共団体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進することとしました。
  • 1. 自殺率や自殺行動に関連する罹患率を減少させること
  • 2. 自殺にまつわるタブーを減らすこと
  • 3. この難問を克服していくために政府や一般の人々の協力体制を作ること

世界自殺予防デー

2004 年以来、毎年9月10 日を「世界自殺予防デー」と定め、世界自殺予防学会(international Association for Suicide Prevention ; IASP) と共同でイベントを開催し、「自殺は大きな、しかし予防可能な公衆衛生上の問題である」ことについて世界中の関心を喚起しています。

WHO ホームページ
http;//www.who.int/mental_health/resources/suicide/en/index.html

横浜自殺予防研究センター
http;//www-user.yokohama-cu.ac.jp/~psychiat/WEB_YSPRC/index.html

自殺総合対策のイメージ

日本の取り組み

 わが国では、2000年(平成12年)3月に国民健康づくり運動「健康日本21」が公表され、その中で「自殺者数を減少させる」として「自殺者数22,000人以下」という数値目標が示されました。
 2002年には「自殺防止対策有識者懇談会」が「自殺予防に向けての提言」を行いました。その後、その提言を受けて厚生労働省が二種類のうつ対策のマニュアルを作成し、地域の行政職員や保健医療従事者に配付しています。
 2005年には、政府が一体となって自殺対策を総合的に推進す会議」が設置されました。第2回の会議では「自殺予防に向けての政府の総合的な対策について(案)」が提示されました。
 「自殺対策基本法」は2006年(平成18年)6月に成立しました。この法律をもとに「自殺総合対策会議」が内閣府に設置され、2007年(平成19年)6月に「自殺総合対策大綱」が閣議決定され、わが国の自殺予防の国家戦略ともいうべき方針が定まりました。

自殺総合対策大綱の目指すもの

 自殺総合対策大綱では、
1自殺は追い込まれた末の死 
2自殺は防ぐことができる 
3自殺を考えている人は悩みをかかえながらもサインを発している
の3点を基本認識に、「6つの基本的考え方(8ページ参照)」を設定し、「9つの当面の重点施策」を定めました。これにより2016(平成28年)までに基準年に設定した2006年(平成17年)よりも自殺率を20%以上下げることを目標に掲げています。


推進体制

 自殺予防は、社会全体で取り組まなければなりません。自殺総合対策大綱には、国、地方公共団体や民間の関係者や団体が、連携して対策を推進していける体制を作ることがうたわれています。
 より良い社会を作り、自殺の少ない社会を目指していきます

大綱の評価、見直し

民間有識者の意見を反映させつつ、施策の見直しや改善に努めます。また、5 年を目途に大綱の見直しを行います。